人工真皮を医師が徹底解説

人工真皮は、コラーゲンをシリコンで包んだ構造をしている新規の医療材料です。
人間の皮膚の「真皮層」の働きをサポートする作用があり、真皮組織を再生させる効果が期待できるため、美容医療はもちろん、医療分野でも非常に注目が集まっています。
人工真皮の安全性は高く、異物などの挿入に抵抗がある方にもおすすめできる医療技術です。
人工真皮は世界各国で臨床応用が進んでいる最新の医療技術であり、従来の施術方法には満足できないという方のお悩みも解消できる可能性があります。
この記事では、人工真皮の構造や安全性などについて詳しく解説します。

目次

人工真皮とは

人工真皮の製品

人工真皮は、肌の真皮層を構成する成分の約70%を占める「コラーゲン」をシリコンフィルムで包んだ医療素材です。

コラーゲンには肌の表皮層を支え、ハリを与える機能があるため、美肌や若々しい肌を作るためには欠かせない成分です。
しかし、加齢とともに肌のコラーゲンは減少するため、肌のみずみずしさやハリが失われていきます。
スキンケアなどで外部から美容成分を補充するには限界があるため、根本的に肌のハリを改善するためには、コラーゲンが不足している部位に直接アプローチする必要があります。

そこで使用されるのが、上質なコラーゲンをたっぷりと含んだ人工真皮です。
人工真皮をコラーゲンが不足している部分に挿入することで、ピンポイントで肌にハリを与え、たるみやシワ、くぼみを解消する効果が期待できます。

人工真皮を用いた美容整形は、施術による身体的な負担やダウンタイムが少なく、即効性があるため、美容整形に幅広く応用されています。
例えば、年齢とともに深くなってくる「ほうれい線」であっても、適切に人工真皮を挿入することで、肌のたるみを改善し、ほうれい線が気にならない若々しい印象を与えることができます。
また、人工真皮の挿入は口の中から行うことができるため、外見上施術の傷跡が残ってしまうことはなく、美容整形が他人にバレてしまう心配もありません。

さらに、人工真皮は、挿入後1〜3ヶ月をかけて徐々に自家組織に置き換わっていきます。(自分自身の組織の一部分として定着する)
自家組織として定着していく過程で、挿入した人工真皮の20%程度が吸収されますが、大部分はそのまま自家組織として置き換わるため、効果は長期間持続します。

人工真皮は、ヒトの皮膚組織を適切な医療処理により無細胞化、滅菌および凍結乾燥したものであり、安全かつ効果的に様々な適応部位に使用することが可能です。
肌のハリを改善してほうれい線などのお悩みを解消する他、おでこや鼻、顎などの形を整える形成手術、バストのお悩みを解消する乳房形成などに応用されています。
さらに、医療分野においては、重症熱傷に対する皮膚再生や口腔外科領域での口蓋再建など、非常に幅広く使用されており、その安全性の高さに注目が集まっています。

加えて、人工真皮は、移植先の形状に合わせてカットして使用することができるため、手術時間(施術時間)を短くすることが可能であり、その分身体的な負担やリスクを大きく軽減することが期待できます。

人工真皮の韓国での位置づけ

美容整形大国である韓国でも人工真皮を用いた美容整形は非常に人気です。
特に、鼻筋および鼻尖形成、顎の輪郭形成の素材として人工真皮が広く利用されており、年々人工真皮を用いた施術の技術や人工真皮そのものの質が向上しています。
人工真皮には、適用部位に合わせた形状の種類があり、お悩みや施術に応じて適切な人工真皮を使い分けることで、従来の美容整形では難しかったような、よりナチュラルでより美しい仕上がりを実現することができます。
人工真皮を用いた美容整形は韓国での症例件数が非常に多く、日本でも安全にご使用いただくことが可能です。

人工真皮の仕組み

人工真皮の図解

美容整形では、プロテーゼやヒアルロン酸、シリコンバッグなど、さまざまな人工物を体内に埋め込むことで、理想的な形作りを行います。
しかし、人工物はあくまでも「人工物」であるため、どうしても違和感が出てしまったり、場合によっては体の拒絶反応が出現してしまうというリスクもあります。
近年の美容整形のトレンドとして、「より自然でばれにくい美容整形」が人気であるため、ナチュラルな仕上がりに出来るような施術が求められています。

例えば、鼻整形術では、お客様自身の耳介軟骨や肋軟骨を採取して、それを鼻に移植することで、 鼻中隔延⻑や鼻尖形成などが行われます。
この方法では、自分自身の組織を使用するため、より自然で拒否反応などの心配もない施術を行うことができます。
しかし、お客様にとっては、手術が⻑時間になる、採取箇所に傷跡が残る、費用が高額になるなど、メリットばかりではありません。

そこで活用できるのが人工真皮を用いた美容整形です。
人工真皮は、同種移植(Allograft:アログラフト)と呼ばれる技術を応用した考え方であり、ドナーされた組織を素材として使用するため、自分の組織には負担をかけず、かつ自然な仕上がりを実現することができる医療技術として注目が集まっています。

人工真皮の安全性

パッケージに入っている人工真皮

人工真皮の安全性は多くの研究データから証明されています。
また、世界各国で沢山の症例が人工真皮を用いた施術を行っており、臨床経験が豊富であることからも安全性の高さが見て取れます。
加えて、人工真皮を用いた医療技術は、美容整形だけではなく、創傷治療などの医療分野で幅広く活用されています。
医療分野で活用されることで、臨床研究が加速的に進むため、人工真皮の安全性は非常に高いものとなっています。
人工真皮のドナーに関しては、米国 FDA(アメリカ食品医薬品局:日本の厚生労働省のような役割)に登録されているドナーバンクから提供されており、非常に高い水準のガイドラインに則った品質管理が行われております。
「ドナー」や「移植」という言葉に不安を感じられる方は非常に多いですが、人工真皮のような医療材料の品質管理基準は、一般的な医療材料とは比べ物にならないほど高水準であるため、製品の品質としてはより水準の高いものが製造されていると言っても過言ではありません。

人工真皮は、プロテーゼや一般的なシリコンと比べて、まだまだ歴史の浅い美容整形ではありますが、高い品質管理基準によって作られた製品が使用されており、医療分野で幅広く臨床応用されていることからも、安心して安全にご選択いただくことができる美容整形といえます。

・細胞を全て除去し、免疫拒否反応の可能性を遮断
・電子ビーム照射により滅菌および、コラーゲンを架橋
・メーカーの組織ドナーバンクは米国 FDAに登録
・高い品質基準ガイドラインに準拠
・AATB(米国組織ドナーバンク)の認可を受けた組織ドナーバンクより提供

eクリニックでは術後感染症対策を徹底的に行います

衛生面に配慮されている人工真皮

人工真皮だけではなく、プロテーゼ挿入などの施術で注意すべきは感染症です。
人工真皮のメリットを最大限に活用するためには、術後の感染症を予防し、早期に炎症を落ち着かせることが重要です。
eクリニックで使用する人工真皮は、製品の品質管理はもとより、完璧な滅菌技術によって感染症のリスクを極限まで減らしています。
加えて、手術の知識や経験が豊富な医師が施術を行うなど、術後感染症に対する万全の対策を行っております。
eクリニックで行う全ての美容整形では、施術そのものの安全性だけではなく、感染症に対しても徹底的に配慮したクリーンな施術をお約束します。

人工真皮を使用した後はどうなる?

人工真皮を使用した手術をしているところ

人工真皮を標的部位に挿入することで、理想的な形成術を行うことができます。
形を整えるだけであれば、人工真皮と一般的な人工物と大差はないのですが、人工真皮の場合、「挿入してからの効果」がとても優れています。

自己の線維芽細胞が人工真皮に取り込まれ、血管新生を誘導

人工真皮を挿入すると、次第に自己の細胞(もとからあった自分自身の細胞) と人工真皮の細胞が融合していき、新たな血管が形成されていきます。
この動きを専門的には血管新生(けっかんしんせい)と呼びます。
血管新生によって組織に栄養や酸素が行き渡るようになるため、まさに自分自身の細胞かのように、自然で健康的な仕上がりになります。
プロテーゼやシリコンなどの異物感に抵抗があるという方にはとてもおすすめです。

組織に生着後、人工真皮周辺に自己組織の再生を促進

さらに、人工真皮が組織に定着すると、人工真皮周辺を自己組織が覆うような形で組織の再生が行われます。
人工真皮と自分自身の細胞の境界がほとんどないような、シームレスな結合が期待できるため、まるで自分自身の組織になったような自然な仕上がりが期待できます。
また、自己組織の再生が促されるため、術後の回復などにも期待できます。

定着率が高い

人工真皮の吸収率のデータ

人工真皮は非常に定着率が高く、効果が持続させられることも大きなメリットです。
例えば、ヒアルロン酸などの物質であれば、注入後その大半は吸収されてしまうため、形を維持するためには、複数回の施術を繰り返す必要があります。
しかし、人工真皮は、一度挿入するとその部位に「定着」し、長期的な効果を発揮することができます。
最大で約20%程度が吸収されることがありますが、吸収率は非常に低く、一度の施術で理想的な形を維持し続けたいという方におすすめです。

人工真皮は除去する事も可能

人工真皮を挿入後は除去する事も可能です。万が一除去したい場合は、プロテーゼのように骨の上に人工真皮の塊があるので、口腔内からアプローチして除去できます。また、ケナコルドの注射を打つことで人工真皮を溶かすことも可能です。挿入したら一生涯除去できないわけではないので、挿入して後悔する事が少ない術式になります。

人工真皮を使用した美容整形(貴族手術/鼻翼基部プロテーゼ)の症例写真

人工真皮の症例
貴族手術の症例

鼻翼の陥没している部分に人工真皮を移植することで法令線を目立たなくすることができます。

▶▶貴族手術(鼻翼基部プロテーゼ)

リスク副作用

だるさ・熱感・頭痛・痒み・浮腫・発熱などを生じることがあります。
治療部位に熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。
感染が起きた場合は、内服薬の服用や抗生剤点滴投与を行い、必要に応じて傷を再度開ける、もしくは、新たに切開し膿を出すなどの処置を行います。
放置すると傷跡が残りますので、そうなる前に治療が必要です。

人工真皮を使用した手術はeクリニックまで

eクリニック金沢本院の外観

eクリニックは人工真皮を使用した美容整形を積極的に行っています。

eクリニックは金沢本院をはじめ、全国展開しています。ご予約はお近くのeクリニックまで。

このコラムに関連する手術&料金

▶▶貴族手術(鼻翼基部プロテーゼ)


このページの監修医師

医師

円戸 望

経歴

・富山大学医学部医学科卒
・高岡市民病院(形成外科・麻酔科・皮膚科)
・Fort Wayne Parkview 病院
・厚生連高岡病院
・金沢医科大学付属病院
・湘南美容クリニック新宿本院
・湘南美容クリニック新宿南口院
・湘南美容クリニック新潟院 院長就任
・湘南美容クリニック金沢院 院長就任
・2020年eクリニック金沢院開院
・大手美容クリニック修正手術技術指導医
・2021年eスキンクリニック開院
・2022年富山院開院
・2023年まぶたのクリニック開院(保険診療)
・2023年大阪院、東京院、名古屋院、岡山院、
     福岡院、那覇院、横浜みなとみらい院開院

医師

山崎 俊

経歴

2004年 金沢大学医学部 卒業
2004年 慶應義塾大学 形成外科 助手
2004年 琉球大学医学部形成外科 医局長
2004年 東邦大学医療センター形成外科 医局長

資格

日本形成外科学会外科専門医
再建・マイクロサージャリー分野指導医

所属学会

日本形成外科学会

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