鼻中隔延長で移植するときに利用する軟骨にはいろいろな種類があります。
この記事では鼻中隔延長に利用する軟骨の種類ごとのメリットやデメリット、安全性について解説をしていきます。
鼻中隔延長で使用する軟骨の種類

鼻中隔を延長する場合、鼻に移植する素材は
1.鼻中隔軟骨の一部を切り抜ぬいて使用
2.耳介や耳甲介などの耳の軟骨
3.肋軟骨
4保存軟骨
5.PDSプレートやPCLプレート、メドポア(人工骨)などの人工物
の5つの分類になります。
軟骨移植を併用した鼻中隔延長手術の3か月後の症例

この症例のように鼻中隔延長時に軟骨移植を行うとシャープだけど鼻先の自然な丸みを残した鼻にすることが可能です。この症例は鼻尖形成と鼻柱下降も併用しています。鼻の整形は鼻尖形成だけどかではなくいろいろな術式を組み合わせて行うと綺麗な鼻にすることが可能です。
【この症例のリスク・副作用】
だるさ・鼻、顔の熱感・頭痛・痒み・むくみなどを生じることがあります。
鼻尖形成や鼻中隔延長手術をしたことにより、鼻尖が固定され手術前のように動かなくなるため、違和感を感じることがあります。 特に笑った時に気になる場合がございます。
鼻中隔に軟骨を重ねるため、鼻中隔が厚くなり、鼻の中の空気が通るスペースが狭くなります。
そのため鼻づまりが 起こりやすくなります。特に施術後は鼻の中の粘膜が腫れるため、鼻の通りが一層狭くなります。
経過と共に鼻の中の粘膜の腫れがおさまると改善されてきます。
鼻中隔延長で使用する一番良い軟骨は?

鼻中隔延長で使用する一番良い軟骨は鼻中隔軟骨をくりぬいたものが良いという医師もいますが、実際は耳の軟骨を使用した方がいい場合もあります。それに鼻中隔軟骨が小さいため、そもそもくり抜けない場合もあります。また昨今、肋軟骨を推奨する美容外科も増えてきました。
さらに軟骨などの自家組織以外でも「保存軟骨(医療処理した安全性が非常に高い他人の肋軟骨)」の発達により、自家組織以外でも選択肢が増えたので、鼻中隔延長の手術で使用する軟骨が何が一番良いかはケースバイケースで、お客様の感じるメリットデメリットに合わせて使用することが最適だと考えます。
術後の結果を観察すると、保存軟骨を使用した症例が良い結果になることが多いです。軟骨を採取する必要がないため、傷跡の心配もいりません。ただ、自家組織ではないため、自家組織に拘るお客様の場合は、そこまで強く勧めることはありません。
耳軟骨
【メリット】
傷が目立たない
【デメリット】
耳軟骨の硬さや形によっては後戻りがあったり耳軟骨の変化により曲がったりする事がある
肋軟骨
【メリット】
量、硬さが十分であり変化を出しやすい。後戻りしにくい。
【デメリット】
・胸に傷が出来る
・術後の痛みがある
・個人の肋軟骨の性質により適切な処理をしても曲がる場合が稀にある
・曲がらないようにする為にはある程度の厚みが必要になるが、厚いものを使うと鼻の穴が狭くなり息がしづらくる可能性がある。ただし厚みと曲がりは反比例の関係にあるため曲がりと厚みを計算して使用すれば、問題なく使用できる場合が多い。
保存軟骨
【メリット】
・高品質な素材は、耐久性テストにより、曲がりにくさと強度が保証されており、素材自体の変形の可能性が最も低い。
・耳や胸を傷つける必要がない。
【デメリット】
自家組織ではないので、自家組織に拘る方には抵抗感がある。
▶▶【鼻中隔延長で後悔】ブログでよく見る失敗事例を医師が解説!
移植する耳軟骨

鼻中隔延長で使用する耳軟骨の量は?
鼻中隔延長で使用する耳の軟骨の量は
・耳介一枚
・耳珠一枚
・耳介2枚
・耳介+耳珠
・耳珠2枚
といったように、形と大きさによりどの組み合わせで行うか選択します。
耳の軟骨の量は個人差が大きいので、どのくらいの量を採取するかは、手術前に触診で判断します。
ただ鼻中隔延長に使用するには耳の軟骨の量が足りないということはほとんどありません。
耳介軟骨移植と鼻中隔延長手術の違いは?
耳介軟骨移植は一般的には鼻中隔延長ではなく、鼻尖部軟骨移植の事を指します。
鼻尖部軟骨移植の手術は鼻中隔の上に移植した軟骨を載せて鼻尖(鼻先)の高さを出す手術です。
鼻尖に移植する耳の軟骨は耳珠と耳介のどちらかになります。
鼻尖部軟骨移植の場合、鼻尖に移植する耳の軟骨は耳介でも耳珠でもどちらでも良いのですが、耳珠の方が痛みが少なく手術時間も短縮出来るため当院では、耳珠を移植することが多いです。
ただお客様の希望があれば耳介を移植する場合もあります。
従来日本では鼻尖部軟骨移植の場合、軟骨を耳介から採取する場合が多かったので、鼻尖部軟骨移植の手術を耳介軟骨移植と呼ばれる事が多いですが、正確には「耳」軟骨移植になります。耳軟骨移植となると、移植する耳の軟骨には耳珠と耳介の選択肢がありますが、
耳介軟骨移植となると必然的に移植する軟骨は耳介になります。
スマートフォンを例にすると、スマートフォンにはiOS端末のiPhoneやAndroid系端末、Windows系端末があるのに、一部の人にはiPhone=スマートフォンと認識されている状況と似ていますね。
保存軟骨の安全性

保存軟骨は医療的に処理された他人の肋軟骨です。医学的に長期経過の安全性に関してはデータが豊富な事も特徴の一つです。
保存軟骨は冷凍タイプと常温タイプがあります。冷凍タイプは冷凍状態によっては鼻へ移植後、保存軟骨の吸収による後戻りなどの品質低下が起こり得ます。
保存軟骨を移植した手術のトラブルは10年〜5年ほど前は何例か聞いたことはありますが、その原因は保存状態が良くない素材が流通していたり、保存技術が未発達だったためだと思います。
現在国内で流通している保存軟骨は当時に比べると、品質がとても向上しています。質の良い肋軟骨と同じ効果と安全性が与えられるほどです。
eクリニックは金沢本院をはじめ、全国展開しています。ご予約はお近くのeクリニックまで。
このページの監修医師

eクリニックグループ統括院長
円戸 望

eクリニック統括技術指導医
飯田 秀夫