保存軟骨とは?鼻の整形で使用しても大丈夫?

看護師が手に持っている保存軟骨

鼻の美容整形である「鼻形成術」は、鼻の形を作り変えることで、見た目や機能を向上させる美容施術(手術)です。
さらに、今回のメインテーマである「保存軟骨」は、鼻の整形において使用される素材の一つであり、身体的負担を減らしながら、自然な仕上がりが期待できる医療技術です。

そこで本記事では、保存軟骨の特徴や利用方法、鼻の整形で保存軟骨を使用する際のメリットやデメリット、他の軟骨材料との比較、および保存軟骨を用いた鼻形成術の種類(保存軟骨が適応となる施術)について詳しく解説します。

  • 保存軟骨ってなに?
  • 保存軟骨って安全なの?
  • そもそも鼻の整形にはどのような施術があるの?

このような疑問がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

保存軟骨とは

保存軟骨は医療的に処理された他人の肋軟骨です。
しっかりと医療用に特別に加工・保存された素材であるため、安全にご使用いただくことができます。
長期経過の安全性に関するデータも豊富にありますので、「保存軟骨は危険」というのは誤解です。

そもそも軟骨とは、人体の構造を支える柔軟で弾力のある組織で、骨と皮膚の間に位置する組織です。
人間の体内には様々な部位に軟骨が存在しており、軟骨の働きや形によって、各組織の構造を変化させることができます。

鼻の整形と保存軟骨について

保存軟骨は、厳密な衛生管理のもと、適切な方法で採取された軟骨が、特別な医療的な処理を経て保存されている医療材料です。
他人の軟骨を移植すると聞くと、安全性を懸念される方もいらっしゃいますが、エビデンスのある医療材料として厳密な管理の中で作られているため、問題なくご使用いただくことができます。
特殊な工程と処理によって、感染リスクを低減することが可能であり、移植後長期経過に関しても、たくさんの安全性データがでています。

そんな保存軟骨は、鼻の整形において、鼻の構造や形状を補強するための素材として利用されています。
例えば、鼻の先端部分を高くしたり、鼻の形を整えたりする際に、保存軟骨を使用することがあります。
保存軟骨以外としては、鼻中隔軟骨(鼻の軟骨)、耳介や耳甲介(耳の軟骨)、肋軟骨(脇腹の軟骨)、人工物などが使用されることがあります。

それぞれにメリットとデメリットがあるのですが、保存軟骨の最大の利点としては、耳の軟骨を使用する場合のように、自分自身の体から軟骨を採取する必要がないため、手術の負担を大きく軽減できるという点です。
また、厳密な品質管理のもとで処理された保存軟骨は、強度と耐久性に優れており、長期間安定した形状を維持することができるという点においてもメリットがあるといえます。

保存軟骨の安全性

保存軟骨の実物

保存軟骨は、適切な処理を施すことによって、感染リスクを最小限に抑えることが可能であり、長期的な安全性データも豊富な、安心して使用することができる医療材料です。日本より保存軟骨の症例が多い韓国の複数人の医師とディスカッションをしましたが、ほとんどの医師が同様の考えでした。

実際に保存軟骨を使用した数年前の症例の経過も良好であり、どの症例もしっかりと形状を維持しているため、保存軟骨は良質な医療素材だと考えられています。

また、保存軟骨には、冷凍タイプと常温タイプがあり、「冷凍タイプ」の場合、保存軟骨の保管状態によっては、鼻へ移植後に保存軟骨の吸収による後戻りなどの品質低下が起こり得る可能性があります。
10年前には、保存軟骨の移植によるトラブルが何例かあったようですが、その原因は保存状態が良くない素材が流通していたり、保存技術が未発達だったためだと考えられます。

現代では、保存軟骨の処理技術はもちろん、保管技術や輸送技術など、様々なテクノロジーの発展によって、高度な安全性を保持しながら保存軟骨を使用することが可能になっています。

保存軟骨は吸収されやすい?

よくお客様から「軟骨は鼻に装着後、吸収されやすいかどうか」ご質問をいただきますが、私の経験上、吸収される度合いについては肋軟骨や耳軟骨と差はないと考えています。美容整形の先進国だる韓国の保存軟骨を使用した症例データが多い複数人の医師と意見交換をしましたが、ほとんどの医師が私と同様の考えでした。そのため、吸収についてはあまり心配されなくてよいと思います。

保存軟骨のメリット

並べられている保存軟骨

保存軟骨を用いた鼻の美容整形には、以下のようなメリットがあります。

品質管理が徹底している

保存軟骨は、厳密な品質管理のもとで処理されているため、強度と耐久性に優れています。
耐久性テストにより、曲がりにくさと強度が保証されており、素材自体の変形の可能性が最も低いとされています。
これにより、長期間安定した形状を維持できると考えられます。

手術負担の軽減

保存軟骨を使用することで、お客様自身の耳や胸から軟骨を採取する必要がなくなります。
そのため、手術の範囲を鼻に限定することが可能であり、術後の痛みや腫れの軽減が期待できます。
また、自家軟骨採取に伴う傷跡や感染リスクも軽減できるため、全身的な負担を軽くすることができます。

豊富な供給量

保存軟骨は、提供者からの軟骨を使用するため、自家軟骨採取の際に発生する素材不足のリスクがありません。
自家軟骨採取の場合、採取できる軟骨の量に限りがあるため、移植時に「素材不足」になってしまうリスクがあります。
保存軟骨であれば、お一人おひとりのニーズに合わせた適切な量の軟骨を用意することができるため、手術の成功率向上が期待できます。

形状の自由度

保存軟骨は、様々な形状に加工することが可能であり、理想的な鼻の形状に合わせて、最適な形に調整することができます。
お一人おひとりの状態と理想のイメージに合わせて、自然な仕上がりを実現することができます。

短い手術時間

保存軟骨を使用することで、自家軟骨採取が不要になるため、手術時間を大きく短縮することができます。
手術時間を短縮することで麻酔のリスクを低減することも可能であり、身体的な負担を軽くすることができます。

保存軟骨を用いるデメリット

保存軟骨を用いるデメリットとしては、「非自家組織に対する抵抗感」が挙げられます。
保存軟骨は他者から提供された組織であるため、自家組織にこだわるお客様にとっては抵抗感があるかもしれません。
しかし、保存軟骨は適切な滅菌処理が行われ、厳密な品質管理の下で提供されているため、感染リスクが低く、非常に安全性の高い医療材料であることも知っておくことが重要です。

保存軟骨以外で鼻の整形に使用される軟骨

保存軟骨で鼻の整形をしている様子

保存軟骨以外で鼻の整形に使用される軟骨としては、「鼻中隔軟骨」、「耳介や耳甲介などの耳の軟骨
」、「肋軟骨」などがあります。

鼻中隔軟骨

鼻中隔軟骨は、鼻の中央部分にある軟骨で、鼻の左右の通路を仕切るような形をしています。
鼻形成術では、鼻中隔軟骨の一部を切り取り、鼻の形状を整えるために使用する場合があります。
しかし、適切な量の軟骨を採取するための技術が必要であり、採取量が多すぎると鼻中隔の機能に影響を及ぼす可能性があります。
また、鼻の形状を整える施術であるにも関わらず、鼻中隔軟骨の採集によって、鼻の形が崩れてしまう可能性もありますので、高度な技術が必要になります。

耳介や耳甲介などの耳の軟骨

鼻の形成術に耳の軟骨が使用されることもあり、耳介(外耳の薄い部分)や耳甲介(耳の硬い部分)などから採取されます。
耳の軟骨は柔軟性があり、加工しやすいため、特に鼻尖の形状を整えるのに適しています。
しかし、耳の軟骨は、加工しやすい分、他の軟骨に比べて強度が低いため、耐久性には劣ることがあります。

肋軟骨

肋軟骨は、肋骨から採取される軟骨で、強度が高く、比較的大きな形状を作ることができます。
しかし、肋軟骨を採取する際には手術の負担が大きくなり、手術時間が長くなってしまうというデメリットがあります。
また、肋軟骨は強度が高いこともあって、加工が難しく、形状によっては使用が難しい場合もあります。

保存軟骨は、鼻に装着後は曲がる?

鼻が美しい女性

鼻に挿入した時に、挿入した軟骨が曲がるか曲がらないかという問題があります。鼻に挿入した後に、曲がってしまうと、綺麗なシュッとした鼻を作る事ができません。肋軟骨や耳の軟骨は曲がる恐れがありますが、保存軟骨は曲がる心配がほぼありません。

肋軟骨は曲がる?曲がらない?

肋軟骨には木の年輪のように節や筋があります。そのため、採取した肋軟骨を薄くして鼻に移植すると、切る場所によって曲がってしまったり、薄くしすぎると曲がってしまう恐れがあります。鰹節(かつおぶし)を薄くすると曲がる理論と同じです。
曲がらないようにするため、肋軟骨を採取した後、通常2mm程度薄くスライスして、しばらく生理食塩水につけて曲がるか曲がらないか観察します。太い場合は曲がりませんが、薄い場合は曲がってしまいます。かといって、太いまま鼻に挿入すると、ごっつくなってしまいすらっとした美しい鼻にすることができません。美しい鼻にする場合は肋軟骨を薄くする必要があります。ただ、薄くすると肋軟骨が曲がってしまうデメリットがあります。

耳の軟骨は曲がる?曲がらない?

耳の軟骨の場合、うまく加工することで曲がらないようにすることができますが、そもそも耳の軟骨は形が曲がっており歪(いびつ)な形をしています。将来的にも変形してきてしまいます。鼻中隔の延長量が少なかったり、素材が鼻の組織にぴったりはまるのであれば、曲がる恐れはありませんが、耳の軟骨はどうしてもいびつな形をしているため、使用する条件が限られてしまいます。

保存軟骨は曲がる?曲がらない?

保存軟骨は、生成過程で曲がる素材と曲がらない素材を選別しています。そのため、曲がらないと分かったものだけを使用しているため、鼻の整形に肋軟骨や耳の軟骨より向いている素材になります。薄いのに曲がらないと分かっている素材のみ使用できる点が保存軟骨の強みです。

保存軟骨を用いた鼻の美容整形の種類

保存軟骨を使用した鼻の整形の症例 (1)
保存軟骨を使用した鼻中隔延長の症例 (6)
保存軟骨を使用した鼻中隔延長の症例 (5)
保存軟骨を使用した鼻尖形成の症例 (4)
保存軟骨を使用した鼻尖形成の症例 (3)
保存軟骨を使用した鼻の整形の症例 (2)

保存軟骨を用いた鼻の美容整形としては、「鼻中隔延長」や「鼻尖形成」があげられます。

リスク副作用

だるさ・熱感・頭痛・痒み・浮腫・発熱などを生じることがあります。
治療部位に熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。
感染が起きた場合は、内服薬の服用や抗生剤点滴投与を行い、必要に応じて傷を再度開ける、もしくは、新たに切開し膿を出すなどの処置を行います。
放置すると傷跡が残りますので、そうなる前に治療が必要です。

鼻中隔延長

鼻中隔延長は、鼻の中央部分を延長し、鼻全体のバランスを整える美容整形術です。
鼻中隔延長術において保存軟骨を用いることで、自然な形状と強度を確保することが可能であり、長期的に安定した形状を維持する効果が期待できます。
鼻の形状や大きさに適した保存軟骨を選択し、適切な位置に固定することが重要になるため、理想的な鼻を作るためには、確かな経験や技術をもつ医師の力が必要になります。
鼻中隔延長手術を受けていただくことで、顔全体のバランスを改善することが可能になり、美しく自然な鼻の形状が実現できます。

▶▶鼻中隔延長

鼻尖形成

鼻尖形成は、鼻の先端部分の形状を整える手術で、鼻の先端が丸くて低い、または突出しているといった場合に選択される美容整形術です。
鼻尖形成に保存軟骨を用いることで、お客様お一人おひとりの骨格や皮膚の厚みに合わせた自然な形状を再現しやすく、長期的に安定した形を作ることができます。
鼻尖部の軟骨を適切に切除し、保存軟骨を用いて形状を補強することで、理想的な鼻先の形状を実現できます。

▶▶鼻尖形成

保存軟骨を用いた鼻の美容整形のまとめ

イークリニックの入口

保存軟骨を活用した鼻の美容整形は、長期的な安定性が期待できる鼻の美容整形です。
保存軟骨は。鼻尖形成や鼻中隔延長など、さまざまな鼻の整形で使用することができ、安全性も高く、おすすめな方法のひとつです。
保存軟骨は自家組織(自分の細胞)ではないため、自家組織にこだわる方には抵抗感があるかもしれませんが、現代科学によって高度な安全性を担保することが可能ですので、安心してご使用いただくことができます。

本記事では、保存軟骨の特徴や利用方法、鼻の整形でのメリットやデメリット、他の軟骨材料との比較、および保存軟骨を用いた鼻の美容整形の種類について詳しく解説しました。

鼻の形成術を始め、保存軟骨を使用した鼻の美容整形を受けたいという方、美しい鼻を手に入れたいという方は、まずはお気軽にeクリニックまでご相談ください。

eクリニックは金沢本院をはじめ、全国展開しています。ご予約はお近くのeクリニックまで。

このコラムに関連する手術&料金

▶▶鼻尖形成

▶▶鼻中隔延長


このページの監修医師

医師

円戸 望

経歴

・富山大学医学部医学科卒
・高岡市民病院(形成外科・麻酔科・皮膚科)
・Fort Wayne Parkview 病院
・厚生連高岡病院
・金沢医科大学付属病院
・湘南美容クリニック新宿本院
・湘南美容クリニック新宿南口院
・湘南美容クリニック新潟院 院長就任
・湘南美容クリニック金沢院 院長就任
・2020年eクリニック金沢院開院
・大手美容クリニック修正手術技術指導医
・2021年eスキンクリニック開院
・2022年富山院開院
・2023年まぶたのクリニック開院(保険診療)
・2023年大阪院、東京院、名古屋院、岡山院、
     福岡院、那覇院、横浜みなとみらい院開院

医師

山崎 俊

経歴

2004年 金沢大学医学部 卒業
2004年 慶應義塾大学 形成外科 助手
2004年 琉球大学医学部形成外科 医局長
2004年 東邦大学医療センター形成外科 医局長

資格

日本形成外科学会外科専門医
再建・マイクロサージャリー分野指導医

所属学会

日本形成外科学会

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